メンタルメンテナンス

爆発した2人のトラウマ!(ケースヒストリー)

「爆発した2人のトラウマ」 (リンジーとマックスのケース)

リンジーは32才の主婦。13才年上の弁護士の夫と2才の娘と経済的にも精神的にも安定した生活を送っていました。しかし、その幸せが半年前から突然崩れ出したのです。それは彼女の父親が半年前に癌の末期で入院したことをきっかけとして。

父 親は会うたびに死にたくないとリンジーに訴えるのです。それだけでも十分にストレスなのに、その上、父親の癌の知らせにショックを受けた妹が普通の生活が 出来なくなる程、精神的にバランスを失ってしまったことに対するストレス、そして特にそんなリンジーに非協力的で支えになってくれない夫に対する精神的不 安、怒り、悲しみが身体にしっかりと溜まっていました。しかし、リンジーを私の元に送ったのはその非協力的な彼女の夫なのでした。

リンジーの夫マックスは神経と頭脳を酷使する仕事の為、バイオコンピューター(脳)に溜まった不必要な記憶を「削除」をしに定期的にクリニックに来ていました。長い間、マックスの顔を見ないなって思っていたら彼から予約の電話があったのです。
4ヶ月ぶりにクリニックに訪れたマックスのストレスは仕事からだけではないとすぐ分かりました。いつもなら当たり障りのない世間話をセッション前後に交わすだけなのですが今回、マックスは初めて私生活での問題を私に話したのです。

彼自身も両親を若い時に亡くしているので、リンジーの精神的なストレスは十分に理解出来るが、現在、彼自身も彼の将来を 左右する大きなケース中であり睡眠不足とプレッシャーで2才の娘の相手をするエネルギーだけで精一杯だと訴えました。彼はストレスでヒステリックになって いる彼女をこれ以上どのように扱って良いのか途方にくれていました。

「僕は本当にどうして良いか分からない。彼女は僕のことをまるで同情心の無い非協力的な夫として扱うんだ…。話し合いをしたくても話し合いにならないんだよ…必ず口論で終わるんだ。決り文句は『私のことを全然サポートしてくれない。貴方には私の気持ちは分からない』って…」とため息混じりにマックスは言いました。離婚の話まで出ているという…。

話から彼がリンジーのことを愛しているのはよ~く分かる。これをリンジーに伝えるのが私の仕事の一つでもあるわけだ。夫婦は円満でないといけない。夫婦が円満で無いと家庭が乱れ、ひいては社会が乱れるからだ。

さて、リンジーである。「始めまして、あの、夫が…すごく良いから行ってこいって…」 はにかんだ感じで私の前に座わりながらリンジーは言った。彼女の話し方や態度からから他人に気を使うタイプなんだなぁと感じた。マックスが彼女に私のこと をどう説明したのかはわからないが、数ヶ月もベッドルームを別々にして過ごしている夫のアドヴァイスに従うということは彼女自身の彼に対する信頼が現れている。

-まだ救いはある-

私は問診を始めた。初診者に聞くお決まりのディーテールである「タバコは吸いますか?」「良く眠れますか?」「お水は飲 んでいますか?」「甘いもの、辛いものが好きですか?」等、問診が終わり「OK、じゃあ今日は私に何をして欲しいの?」と聞いた途端に彼女の目から大粒の 涙が溢れた。

-おっと~、これは相当溜まっているみたいね-

私 は彼女の横に立って胸と後頭部をそっと触ってエネルギーの調整をする。ハートチャクラのエネルギーを整え、後頭部に記憶されたネガティヴな記憶のオーバー フローを一時的に止めて落ち着かせた。彼女は大きなため息のような深呼吸をした。「じゃあ、始めましょうね」彼女を診療台にうながした。

診療台に横になった彼女の潜在意識に問いかける。一体何がストレスの原因なのか?彼女の潜在意識にアクセスをする。

潜在意識から出てきたもの…
「将来への方向と自分自身の価値を見失っている」父親からのエネルギー
「父という支えを失う恐怖に心が落ち着かない」妹のエネルギー
「妻から自分の存在を否定され、心の平安が家になく、自信を失っている」夫のエネルギー。
この3人から発散されるこれらのネガティヴなエネルギーを彼女は全部受け止めていた。彼女の第三チャクラ(丹田)は弱く、エネルギーが漏れていた。そして、夫に対してはネガティヴなエネルギーを受けるだけではなく「何故、私のことをサポート(理解)してくれないの」という怒りと悲しみをハートチャクラから放出し渦巻き、そのネガティヴなエネルギーを夫に投げ返していた。この夫とのネガティヴなエネルギーの悪循環が一番の問題だった。

これらは現在の彼女の状況です。それは彼女の外に起きていることに対する「リアクッション(反応)」なのです。外から起きる現象に対してどの様に反応するかはバイオコンピュータに記憶されています。それがいつどのような状況で記憶されたのか年齢を退行して調べてみました。

2才の時の父親に対する母親の感情にたどり着きました。私たちは彼女が2才の頃の母親について話をしました。いつも落ち着かずにバタバタと忙しくしている母親、妹が生まれたばかりで肉体的にも大変な母親…。父親は仕事で忙しく育児は母親まかせだったこと。リンジーは母親似で妹は父親似だと言いました。そう話している彼女のエネルギーからとても寂しいものを感じました。

「母親をイメージして、彼女はどんな感じに見えますか?」リンジーは言いました「なんか…忙しそう…」彼女の閉じた瞼の下の眼球がぐるぐる回っているのがわかる。脳の記憶装置がフル回転している。「その母親の前に2才の自分が立っていることをイメージして……見える? その女の子の気持ちは何かしら?感じる?」

リンジーは答えない「……」

私は聞いた「どうしたい? 女の子は母親にどうしてもらいたい?」

「抱きしめてもらいたい…」と言いながら彼女は一筋の涙を流した。

彼女の母親の家事から育児まで「全ては母親である妻である私の責任、義務」という態度はしっかりと2才の娘 である彼女の記憶装置に焼きついたのであった。その忙しい母親に気に入られるために泣き言は言わない、そうすると母親は「この子は良い子なのよ。お留守番 も一人で出来るし」と誉めてくれる。それが唯一彼女の母親からのアテンションをもらえる時なのだった。大人になってからもいつも「誉められよう」「認めら れよう」と頑張ってきた自分、それは母親の愛に飢えていた自分であったことにリンジーは気がついた。

文句も言わずに頑張って、いつも他人の問題まで抱え込み、身体に不調が出てきても気がつかず(あるいは無視をして)、そ の限界を超えた時に彼女の感情が爆発したのだった。「私だって辛いのよ」「こんなに頑張っているのに何故私のことをサポートしてくれないの?」、「私の気 持ちをわかってくれないの?」と子供の頃に叫びたかった言葉が大人になった今、過去の母親と似た状況に置かれた時に爆発したのであった。そして、その矛先 は愛する夫に飛ぶのであった。ちょうど彼女の母親が父親にしたように…。

家族の中でリンジーと母親は「面倒を見る人」そして父親と妹は「面倒を見てもらう人」と分かれる。リンジーは友人も多 く、責任感が強く、他人の世話を「し過ぎる」傾向がありエネルギーをすり減らすことが多い。父親と妹はどちらかというと内弁慶型で問題があると自分の力で 乗り越えようという気持ちが少なく(自分の人生に対して責任感がない)、強い母親かリンジーに頼りやすい。これはエネルギーのバランスでそうなってしまう のです。どちらがどうというのではなく、共依存なのです。どちらかが「過ぎる」こと「足りないこと」に気づいて、バランスを取るようにすれば相手も変わっ ていきます。
これはエネルギーの法則です。

数回のセッション後、父親の病気や妹の精神不安を自分の責任のように受け取るということがなくなり、少し冷静に距離を置 いて見ることが出来るようになったとリンジーは言いました。精神的に楽になったら心に余裕ができ、夫が彼の出来る範囲で精一杯彼女をサポートしていること に気がついたのでした。
リ ンジー自身が過剰に他人を助ける傾向があるために、自分に助けが必要な時に相手(特に親近者)に対して「過大な」ヘルプを期待してしまうのでした。「私 だったらこうする。私だったらこう言う」という相手に対する期待です。自分が母親の無理をしていたエネルギーを受けたのが2才の時、自分の娘も2才である ということに彼女はカルマを感じたと言いました。

彼女の母親は無理を「し過ぎて」癌になり60才という若さで3年前に亡くなっていました。それはストレスからだと彼女は 知っていたので、そのような母親のリピートはしたくはないと強く心に思っていました。悪い人ではないけれども、母親に対していつまでも子供のような父親。 母親はよく「お父さんを含めて3人の子供と住んでいるようだ」と言っていました。「母親のような人生は嫌だ!自分は困難の時に頼りになる男性と結婚して幸 せな家庭を築きたい」と彼女は願って年上の頼り甲斐のあるマックスと結婚したのでした。

マックスは30才前に両親を失しないました。その悲しみ、遺憾、後悔、自責などまだまだ癒えない傷はマックスの心の奥に残っていました。その傷がリンジーの父親が癌の末期であるという状況によって刺激されたのです。

両 親の死に対して「何も出来なかった自分」という自責の念が「妻の為に何もしてあげられない自分」と重なったのでした。「役に立たない自分」という子供の時 に持ったトラウマ。マックスは出来る限りのサポートをしましたが、妻からは「サポートしてくれない」とヒステリックに言われ、心は悲しみで一杯なのでし た。

セッション前、リンジーは「マックスは私の気持ちをわかってくれない。とても冷たく感じる。私が話をするとすぐに怒った顔をするから…」と言いました。怒った顔は悲しみを押さえている為にそうなったのです。悲しみを心の奥に押し込むと怒りの形で現れ、怒りを押し込むと悲しみの形で表面に現れることはよくあります。

セッション前のリンジーの精神状態は子供のようなものなので、マックスが大人のアプローチをすればするほど「冷たい、私 の気持ちをわかってくれない」となったのでした。マックスが知的に話そうとしたのは、彼自身の古い痛みをカヴァーするためです。彼自身も心の痛みに耐えき れないから、精神的な苦痛を押し込み、知的に両親の死を考えて対処したのです。

マックスが両親を失うという経験から立ち直っていれば、リンジーに対して「頼れる父親」のように彼女を胸に抱きしめて「大丈夫だよダーリン、僕がついているから…」「気持ちは分かるよ」とか言ってなだめるようなジェスチャー(これはリンジーの望んだ夫の態度)が出来たかもしれませんが…。
                                
セッションの一週間後、見違えるほど明るくなったリンジーがクリニックを訪れた。
「ごめんなさ~い。遅れちゃって。この時間の交通量を考えて家を出なかったの。だから、ハシッテ来たの!」と少し肩で息をしながらハシッテを強調して彼女は言った。

そう今日は走ることが出来たということなのだ。前回クリニックに訪れた彼女は下半身が痛くって歩くのも椅子から立ち上がるのも「よいしょっ、イタタタ…」って感じだったのに、今日は走ってきたのだからスゴイ!彼女の心も身体も快方に向かっていることがわかる。

彼女は5週間ぐらい前から腿の付け根に発疹ができていた。皮膚科に通院しても一向によくならなかった。それどころか段々腫れて悲惨な状態になっていった。その上に膣炎も併発していて産婦人科で薬をもらったがこれも改善しなかった。

身 体とは面白いもので正直なのです。夫、マックスに対しての彼女の怒りや不満が身体に出てきたのです。女性性を現すもの、女性のパワーを示すものが機能しな くなってしまうのです。それは彼女が意識的に望んだのではなく、潜在意識が「SEXが出来ないような状態」(彼に対する拒否反応)を選んだのです。女性の ストレスや夫婦間の押さえ込められた不満は女性器あるいはその周辺に現れやすいのです。特に怒りのようなものは発疹という形で問題のある身体の部分の表面 に出てきます。

それらを説明するとリンジーはとても納得してこう言いました。「実際、マックスが私のことを気にしてなんとかしようとし ているのは分かっていたけど、その彼の態度がなんか、気に入らなかったのよね。今思えば私の八つ当たりのようなものなのだけど。それで、彼はSEXで仲直 りをしようとするの。今までの二人の間の小さな喧嘩だったら、それでOKだったかもしれないけど。今回は彼のそういうアプローチに対して反感や嫌悪感を 持っていたの。『私の気持ちなんかどうでも良くてSEXだけが目的なんでしょう?』ってね」

これも良くある話なんだなぁ。ヒステリックあるいはネガティヴになった女性をどう扱って良いか分からず、男性はそれまで彼女と仲直り出来た「きっかけ」をあれこれ思いだしてトライするのです。それがプレゼントかレストランか旅行かSEXか…。

情熱的な彼らの場合はSEXだったみたいなのですが、今回はリンジーの潜在意識にあった「彼女の母親の父親に対する被害妄想」が表面に出てきた為に、そのアプローチは今までのような良い結果にはならずに反対にリンジーの反感を買うことになってしまったのです。

「それでこんな病気になってしまったのね。でも、お陰で彼に対しては一々SEXを断らなくても良くなったの。そのたびに 口論になるから、だからバスルームに置いてある塗り薬のチューブがNOっていう合図になっていたことは確かね」肩をすくめて話を終わらせた彼女の笑顔はと てもチャーミングでした。

前回はおばあさんのようなエネルギーを発していたのに。そのことを彼女にコメントすると大声で笑いながら「だってぇ~本当におばあさんのような気持ちだったもの! 心も身体も!」

-スゴイな~ぁ、リンジー。一週間でこんなに良くなるなんて、素直でポジティヴ思考なんだなぁ。- 

前回のセッションで自分の被害妄想や強迫観念に気づいたリンジーはマックスに対しても見方や態度が変わりました。彼の優しさや気遣いに敏感になり「彼にサポートされている」と以前の様に感じるようになりました。

「確かに自分の父や妹のことで頭が一杯で、彼が今どんなに大変な仕事に直面していることなど、少しも考えても見ませんで した」ここ半年間の自分の彼に対しての言動を思い出して反省したこと、そして、自分の母親が父親に対して甘えたりするのが下手だったんだということに気づ いたと話してくれました。

やっと彼に対する愛が蘇って来たのに「下半身が~ねぇ~。彼を受け入れたくないみたいなの~ぉ」と苦笑いのリンジー。 「まっ、それだけ自分に無理をしてきた分、身体に行ってしまったってことだよね。他に何か感情的な問題が下半身の回復を妨げているかチェックしてみよう か?」と私。

「OK!」 と診察台にあがるリンジーは楽しそうだ。ほとんどのクライアントは彼女の様に自分の問題の原因が分かりだすと「面白い」っていう表現が適しているかどうか 分からないが、自分の知らない自分の潜在意識への探検のように「次は何だろう?ちょぴり怖いけど、よ~し行ってみよう!」って勇敢に向かっていくのであっ た。

自分の知らない潜在意識への旅は自分のネガティヴな面を直視しなくてはいけないから、勇気がなければ続けられないものです。              
                               
内 腿のただれと膣炎に悩むリンジー、それらの疾患が夫への拒否反応から出てきたのは分かった。そして、セッション後、精神的に前よりも大人になったリンジー は夫マックスとも和解して「心も身体も~」のはずだったのだが、身体にはまだ不満が残っているようだ。「前よりはず~っと良くなったのよ、ホントに。で も、まだSEXができる状態じゃないわ」とリンジー。

リンジーの潜在意識にアクセスして「何が下半身の疾患の回復を妨げているのか?」聞くことにしました。診察台の上に仰向けになっている彼女の手を軽く触りながら「じゃあ息を吸って~息を…」吐いて~と言う前にリンジーが「ごめんなさい。その前に、気になったことがあるから話しても良いかしら?」と言った。

彼女の話は「自分と母親」と「母親とその母親(彼女の祖母)」、「母親と父親」と「祖父と祖母」の関係が似ていて、自分 も同じパターンを繰り返しているようで怖くなったというのだ。母親も祖母も「頼りない夫(言いかえれば優しい夫でもある)」を支え、子供を育て、他人の面 倒をよく見てたくさんの人たちから惜しまれて母親は60才、祖母は62才で両者とも癌で亡くなっている。そして、癌になる前に両者とも足を悪くしているこ となど。

今回、自分が歩けなくなったということも「それに」関係があるのか?
自分も癌になってしまうのか?というものだった。

「病は気から」と日本語で言います。
英語で病気のことを「DISEASE」ディジィーズと言います。DISは否定語でEASEは気楽という意味です。東洋も西洋も同じことを言っているわけです。「気持ちが楽じゃないと病気になるよ!」って。

よく「私の家は糖尿病(心臓病、癌など)の家系だから」という言葉を聞きます。確かにその家系に伝わる疾患があるのは確 かです。が、その家系特有の感情がそれらの病気を引き起こしているのだと私は考えます。怒ったり、悲しんだり、妬んだりするたびに私たちは身体の中にいろ いろな種類の化学物質を作り出しています。それらが上手く解毒されずに臓器に溜まったために病気となるのです。そして、引き継がれた食生活も大きく関わっ ていきます。

心 配性や不安定な親に育てられれば大人になった時にやはり心配性で不安定になります。それは腎臓機能のバランスを悪くするでしょう。怒りが多い親に育てられ れば、やはり大人になった時に短気、あるいは怒りを内に込めるタイプになり特に肝臓や胆嚢に影響があります。そして、後には腎臓や心臓にも影響を及ぼすこ とがあるでしょう。

ですから、親の持っていたネガティヴな感情のパターンを自分のシステムから無くせば、同じ病気になるというパターンはなくなるわけです。
そして、感情だけではなく、食べ物も重要な位置を占めています。濃い味付けなど家族の食の好みは当然、身体に反映します。

   「医食同源」   [What you eat what you are.]

ん~ん、東洋も西洋も真理は同じなのですね~。何を食べるかと言うことがその人を作るということですよね。ジャンクフードばかり食べていたら身体もジャンク(くず)のようになってしまうということです。

ですから、家系の病気は「とけない呪い」のようなものではないのです。代々受け継がれてきた病気というのは偏った食生 活、偏った強情な性格が受け継がれている為と言い換えても良いかもしれません。DNAには親の顔の形やホクロの位置だけではなく、そいうった偏った資質も 記憶されているのですから。

さて、説明が長くなりました。リンジーの潜在意識にアクセスします。
そこには母親の、祖母のそしてリンジー自身の強い[I can’t stand it !]という感情があったのです。意味は「耐えられない!」「我慢できない!」という意味です。何故、これをわざわざ英語で表現したのかというと、言葉が上手く感情とその関わり合いのある身体の部分を示しているということを説明したいからです。

英語の[stand]には「立つ」「自立する」「我慢する」などもっとたくさんの意味がありますが、立つには二本の足が必要です。その足で踏ん張って自立したり、物事に耐えたりするわけです。「耐えられない!」ということは身体で表現すると「立てない!」なのです。足に来るわけです。

頑張り屋さんが度を越した頑張りをした時に出てくる症状の代表的な症状は足に来ます。足に発疹、足が浮腫む、そして最後に歩行困難な状態になります。歩くのが不自由だとあれもこれも出来ません。動けないのだから…。身体がボイコットをしているようなものです。「もう、これ以上耐えられな~い!」と声に出せないから、態度に現しているわけです。誰に対して? それは自分の身体を労わらずに他人にばかり世話を焼いている身体の主に対してです。

「そうね。私は自分自身のことを大事にはしていなかったかもしれない…」そう言ってリンジーは軽く閉じている目から涙を流し、大きなため息をつきました。ため息をついたらまた涙が出てきて、彼女は本格的に泣き出しました。これは彼女の潜在意識に長い間溜まっていた痛みが溶け出してきたサインです。

-その調子、ぜ~んぶ出しちゃえ!-          

彼女は今、子供の頃の自分の記憶をたどっている。

私は彼女の額(前頭葉)と胸にそっと手を置きました。額は第6チャクラ(第三の目)の場所でもあり、そこでは洞察力、直 観力、想像力などのパワーが生み出されます。ハートチャクラから「溢れ出てきた過去の感情」が第6チャクラのエネルギーによってバランスをとるのを助けま す。

二つのチャクラのエネルギーの流れを感じ、彼女に深呼吸をするように促す。嗚咽がおさまってきたリンジーにテッシュボックスを渡しながら「たくさん溜まっていたね」と私。「ブ~ッツ!」って二回程思いっきり鼻をかんでから目で微笑みながらリンジーが答えた「本当に…ね。驚いたわ」この瞬間はもう32才のリンジーに戻っている。そして使ったティシュをどうしようかとキョロキョロする彼女に「今日は何を思い出したの?」と尋ねながらゴミ箱を差し出す私。

セッション中のリンジーのヴィジョン。
妹を妊娠してお腹の大きい母親。母親は忙しそうにバタバタしている。足の悪い祖母が訪ねてきて、母親に自分の焼いたケー キを渡している。甘~い匂い。いつお茶の時間になるのかな? リンジーは離れた所からその様子を見ている。祖母が帰る。母親はキッチンの椅子にドサッと音 を立てて座り足をさすっている。母親を可哀相に思う。場面が変わる。小さな妹が母親の横でうるさくまとわりついている。母親は相変わらず忙しそう。しか し、母親は妹の話にうなずいたり、微笑んだりしている。妹に対する怒りとジェラシー。父親はどこにもでてこない。母親は寂しそう。妹が泣き出して母親が 困った顔をしている。

「私はマミーの邪魔をしない。マミーは疲れてるから」という強い感情と何か別の違うモヤモヤした感情が戦っている感じがする。

私はそっと囁くように幼いリンジーに聞いた「マミーにどうして欲しい?あなたはどうしたいの?」また、涙を流しながらリンジーはかすれた声で答えた。「ゆっくり座ってもらいたい。ゆっくりとお茶とお菓子を一緒に楽しみたい。マミーの隣に座りたい…」

父親が自営業を始めてから母親はもっと忙しくなった。リンジーは母親と「ふたりっきり」で何かをしたという記憶が無い。 しかし、母親がリンジーのことを愛しているのは感じていた。母親は働き者で優しい人だった。母親の疲れきったエネルギーを敏感に感じていた幼いリンジーは この自分の気持ちを出すことが出来なかった。それが大人になってから自分の本当の気持ちを伝えると言うこと、夫に上手く甘えることが出来ない原因だった。

母親はゆっくりと座る時間が欲しかった。ゆっくり考えるゆとりが欲しかった。しかし、リラックスというのは「怠け者」だ という考えで育った母親は決して休むことはなかった。リンジーも同じ考えを持っていた。誰から教えられたわけでもないが、リラックスしていることは罪悪の ように感じるので何かすることを見つけてはいつも動いている。

そして、「健康な時に休むのは怠け者」→「病気なら休んでも良い」→「病気になったら休むことが出来る」→「足が動かな ければずっと座っていられる」という公式が潜在意識で作り上げられていた。祖母も母親もそしてリンジーも同じ公式を持っていた。もちろんこれは彼女たちの 意識的な考えではありません。簡単に言えば、運動が嫌いな子供が運動会の日にお腹が痛くなるのと同じなのです。ただ、大人の場合はもっと複雑な形で出てく るのです。

「ハ~イ!」電話の向こうから明るいリンジーの声が聞こえてきた。彼女からの経過報告だ。私の所に電話をかけてくる人たちのほとんどは元気が無いから電話をしてくるので、このような元気な電話はとても珍しく、嬉しい。

リンジーは生まれて始めて父親に自分の気持ちを伝えることが出来たと言いました。セッションを通して学んだことを全て話 したそうです。リンジーと夫との間にあった問題の一つである「お願い、~してくれない?」って頼むことが出来なかった自分。わざと夫の前で忙しそうにして 彼から「手伝おうか?」と言ってくれることを期待し待っていた自分。長い間、父親を悪者に見ていたが、母親が「自分の選択」で必要以上に忙しくして、時には被害者のように振舞っていたことも理解できたことなどを話したそうです。

彼女は母親に似て世話好きで優しい女性なので父親に対しても「世話をしている」という態度を子供の頃からとっていたと言 いました。お茶を入れてあげたり、父親の一日の出来事を聞いてあげたりして、子供の頃から娘として父親に甘えて何かをねだるとか、悩みを相談するとかは一 切無かったと言いました。甘えたかったけど、どうして良いのか分からなかった。それは母親が甘えたりする女性ではなかったから、リンジーにはお手本がな かったのです。

無我夢中で話し終わったリンジーに父親が「マイ スゥイート ハート、ごめんね。寂しい思いをさせちゃったね。ダディーはいつもリンジーのことを愛していたんだよ」と言ってリンジーを抱きしめ2人は抱き合ってしばらく泣いていたそうです。

「父と娘なのに何十年も二人の間に壁のようなものがあって、それが抱き合った瞬間に無くなって、父親に対してのちょっと複雑な遠慮がちな愛がストレートになったって言えば良いのかな? 本当に父親に対して持っていたネガティヴなものが嘘のように消えて…」

それからは父親の中から子供のような態度は消えて、リンジーの健康を気遣ったり、彼女の夫に対しての態度にアドヴァイス をしたりと「父親」のように振る舞いだしたと言いました。担当のドクターから「あと1ヶ月ぐらいの命」と言われると、父親は自宅療養を希望し、通いのヘル パーの人にも我侭を言わずに毅然とした態度で療養生活をしていたそうです。父親が亡くなるまで毎日リンジーは実家へ通い、今までの分を取り戻すかのように 学生時代の話をしたり、父親からは母親とのナレソメとか移民当時の苦労話などを聞いたりして一日を過ごしたそうです。

リンジーの父親も娘を通して我慢強い亡き妻の気持ちが理解できたのだと思います。そしてリンジーも短い時間でも父親と娘としていろいろなことを語り合う機会があったことに感謝をしていました。

実際、一般の家庭で父親と娘の会話の時間は一生でどのくらいの時間なのでしょうか? 女性性が少ない父親は口下手で娘と 上手く会話するし方が分からないのが現状ではないでしょうか? 何を話して良いか分からない父親は「勉強してるか?」「彼氏はいるのか?」などと唐突に質 問して娘にうとましがられたりすることもしばしばあります。

敏 感なティーンの娘に「最近、おっぱいが大きくなってきたねぇ」と言ったために「汚らしい中年の男」のレッテルを貼られて、それから何年も嫌われて話をして もらえなくなった哀れな父親もいます。不器用な愛すべき父親たち。そして、上手く父親に(男性に)甘えることを習うことが出来なかった娘たちがたくさん大 人になっています。

父親から「何故、母親と結婚したのか? どこに惹かれたのか?」聞いてみたこと無い人、是非聞いて見てください。両親を知るのは自分を知る糸口になります。そして、リンジーは夫、マックスとも身も心もはれて強く結ばれて幸せな生活に戻りました。めでたし、メデタシ。

のはずだったのだけど、数週間後にリンジーから「今度はマックスがおかしいの…」 という電話をもらったのでした。私はリンジーの電話に対して驚きはなかった。マックスから最初にリンジーの話を聞いた時にマックス自身の深いトラウマを感 じていたから。リンジーのバランスが取れ、彼女が前よりも精神的に成長したことへの安心感から、押さえ込んでいたマックスのトラウマが出てきたのだと判断 しました。彼もリンジーに負けないぐらい責任感の強い人だから。

数日後、マックスがやって来た。リンジーのことで会って以来だから3ヶ月近く会っていないことになる。久しぶりに会ったマックスは以前よりも太っていた。身体全体が重く感じる。体重という意味ではなく、彼のオーラがヘヴィーなのだ。

「どう? リンジーとは仲良くしてる?」という私の問いにマックスは嬉しそうに話してくれた。リンジーがとてもオープンになったこと、リンジーがリラックス出来るようになったこと、夫婦の絆が強くなったこと、娘がヒステリーな泣き方をしなくなったこと、など。

-良かったぁ。このような報告はいつ聞いてもとても嬉しい-

「今日は貴方自身のことなのよね。どうしたの?」小さなため息をついて、マックスは話し出した。「これはすでにリンジーにも話したのだけど…。彼女が明るくなった分、自分が暗くなったような感じなんだ。リラックスしている彼女を見ていると何故か腹立たしいような、裏切られたような感情が出てくるんだ。彼女は僕が今までアドヴァイスしてきたように自分を改善してきたのに…。頭では分かっているんだけど、彼女が元気であればあるほど、僕を勇気付けてくれるほどに自分自身が消えてなくなってしまうような…とは言ってもこんなデカイ身体が消えるってことは無いかもしれないけどね…ハッハッハ…」

最後はユーモアたっぷりに話してくれた。その分、彼の行き場の無い痛みを感じる。行き場の無いフラストレーションでチョ コレートなどの甘い物をついつい食べてしまい、3ヶ月で7キロ増えた。不安定になると食べてしまうタイプがあるが彼はその典型的なタイプ。太って運動する 気もなくなり、そんな自分に自己嫌悪でまた食べてしまうという悪循環にはまっていた。

「じゃあ、潜在意識に聞いてみましょう」
潜在意識のマックスは「心配性のリンジー」に対してはストレスが無く、現在の「明るいリンジー」をイメージするとストレ スを受けた。「えっ~?!僕は今のリンジーの方が好きだよ」とマックス。「そう、貴方はそうなのだけどね~。もう一人のアナタはそうではないみたい」と 私。

これをリバースサイコロジーと言います。痩せたいけど痩せない。結婚したいけど出来ない。子供が欲しいけど出来ない。と いうケースも肉体的に問題がなければこのリバースサイコロジーがあるということが考えられます。自分の意識に反して潜在意識が強く働いているということで す。

「えっつ~?リバースサイコロジー?」と不思議がるマックス。

マックスの潜在意識の中にリバースサイコロジーがあることがわかった。さて、もう一人のマックス、潜在意識のマックスを 分析。両親を早く亡くした彼は妹と弟の保護者として頑張ってきた。頑張ることで両親を失った悲しみを乗り越えてきた。しかし、彼の根本的な傷は癒えません でした。その傷は「両親を救うことの出来なかった自分」というものでした。特に「母親を救うことの出来なかった自分」というものがありました。

マッ クスは19才の時に父親を突然の事故で失いました。ショックで母親は半狂乱に泣き叫び何ヶ月も自分の心の中に閉じこもってしまいました。マックスは父親を 亡くした時にしっかりと泣くチャンスがありませんでした。母親が泣いて悲しんでいるのを「何とかしなければ」っという気持ちの方が強かったのでした。

精 神安定剤を飲みながら抜け殻のように生きている母親を気遣いながら弟と妹の世話をしました。時々、機嫌の良い時に母親は「貴方は本当にダディに似ているわ ね。とっても優しくて、みんなの面倒を見てくれて…。マミーが元気が無くてごめんね。元気を出さなきゃね」とマックスに言った。

「そうだよマミー早く元気を出して、ボクも一生懸命やるから…」と答えるマックス。会話はいつも同じ、壊れたレコードのようなものだった。そしてそれは母親の心の状態でもあった。

一 番下の弟が高校を卒業した年に、入退院を繰り返している母親は自殺をしてしまいました。その時も悲しむ妹と弟の為にマックスは強い兄を演じていました。 マックスの潜在意識には両親を助けることが出来なかった自分の力のなさを責める「自責」と「後悔」。自分よりも弱い立場の妹と弟を守り助けていくという 「責任感」が生きる原動力になっていたのでした。弁護士と
いう職業を選んだのもそのような潜在意識の選択があったからでした。

マッ クスは自分の周りにいる元気の無い、弱い人たちをサポートすることは得意です。そのような環境に育っていたから、例え意識の上で妻に対して「もっと自信も 持って、自立する様に」と望み、アドバイスをあげていても実際にそのとうりになると、今度はどの様に対処して良いのか分からなくなってしまうのでした。病 気の母親、幼い妹弟に対していつも「気遣う立場」だった為に、元気になった妻といると「もう自分は必要無いのだ」と感じてしまったのです。生きていく為に 「頼られることが必要」だったのです。

そ して「自分が(妻を)支える必要が無い」と感じた時に長い間押さえ込んでいた「本当はボクも支えて欲しかった」という19才のマックスが出てきたのでし た。それをさかのぼると弟が生まれた時の10才のマックス、妹が生まれた時の7才のマックスにたどり着いたのです。「年の離れた一番上の兄である自分」に 対する期待に応えるためにマックスは7才の頃から無理を
していたのでした。

子 供の頃に泣くのを押し込めていた人は普段は涙を流さないが、映画などを観て号泣きすることがあります(それも一種のセラピーだけど)。マックスの様に「男 は泣かない!」で育ってしまった人に「泣いてごらん」といっても簡単には泣けない。泣くためには全身の筋肉を使うから、泣かない人はそれらの筋肉がカチカ チなのです。鉄棒を何年も触ってもいないのにいきなりそこで逆上がりをしようとするのと同じなのです。

泣けないマックスには枕を口に当てて「おもいっきり」3回叫ぶエクササイズとフラワーエッセンスを処方しました。オーストラリアの強い波動を持ったブッシュの花たちのエッセンスです。
(興味のある方はホームページのオーストラリアン ブッシュ フラワーレメディを見てください)

その後、マックスは「ボクが面倒を見なければいけない人」を探すのを止めた自分に気がついたと言いました。「変な話だけど、誰といてもその人が困っていないか?自分に出来ることは
何 か?」っていうことを頼まれもしないのに考えていた自分に気づきました。友人たちが公私共に問題無いというのを聞くととても嬉しく思いましたが、反面、自 分の中で何かが小さく縮んでいくような感覚がありました。それが何かはその時には気がつかなかったけど…。あれはボクの潜在意識だったのかなぁって。 そういった世話好きは弁護士をやっている僕の職業病って思ったけど、以前のように私生活での「ボクの責任」って思いこんで他人の問題をもらいに行くのが無 くなり、仕事でも異常な感情移入が無くなったみたい」

「良かったね。リンジーとはどうなの?」と私。

「こ れも不思議なんだけど、彼女が何かを一人で成し遂げたという話しを聞くと今では、よしボクもそれやってみよう!という良い刺激を受けたり、単純に心から彼 女の達成したことに喜びを感じます。リンジーとも話し合ったけど、今回のことはボクたち2人を精神的に強くしてくれたから、辛かったけど良かったねっ て…」

マックスはストレスからの暴食が止まり、少しずつ体重も減って心も身体も軽~くなりました。

今回は本当にこれでメデタシ、めでたしです。